社会医療法人財団 池友会 新小文字病院 社会医療法人財団 池友会 新小文字病院

093-391-1001
TEL
アクセス
メニュー

病院について

院内感染対策指針

1. 院内感染対策指針の目的

この指針は、院内感染の予防・再発防止策及び集団感染事例発生時の適切な対応など当院における院内感染対策体制を確立し、適切かつ安全で質の高い医療サービスの提供を図ることを目的とする。

2. 院内感染対策に関する基本的な考え方

当院の院内感染対策は、医療機関においては感染症の患者と感染症に罹患しやすい患者が同時に存在していることを前提に、手厚い医療的なケアを行う際に必然的に起りうる患者・職員への感染症の伝播リスクを最小限にするとの視点に立ち、全ての患者が感染症を保持し、かつ罹患する危険性を併せ持つと考えて対処する「スタンダードプリコーション」の観点に基づいた医療行為を実践する。あわせて感染経路別予防策を実施する。
個別および病院内外の感染症情報を広く共有して院内感染の危険及び発生に対して迅速に対応する事を目指す。
また、院内感染が発生した事例については、速やかに補足、評価をして事例を発生させた 感染対策システム上の不備や不十分な点に注目し、その根本原因を究明しこれを改善する。
更に院内感染事例の発生頻度を院外の諸機関から公表される各種データーと比較し、わが国の医療水準を上回る安全性を確保して患者に信頼される医療サービスを提供して、医療の質の向上に寄与する事を基本姿勢とする。
こうした基本姿勢をベースにした院内感染対策活動の必要性・重要性を全職員に周知徹底し、院内共通の課題として積極的な取り組みを行う。

3.院内感染対策のための委員会、組織

1)院内感染対策委員会 (ICC:Infection Control Comnittee)

設置

当院感染対策に関する院内全体の問題点を把握し改善策を講じるなど院内感染対策活動の中枢的な役割を担うために、院内の組織横断的な院内感染対策委員会(以下ICCと称する)を設置する。ICCは病院長直属の諮問機関であり、病院の感染管理のために方針作成と最終決定機関として機能する。

構成

ICCは病院長、医療安全感染管理室の感染対策部門長、看護部長、医療技術部長、事務長、薬剤部門の責任者、検査部門の責任者、事務部門の責任者を含む各部署1名以上で構成される。

運営

ICCは毎月定期的に会議を開催する。また、必要に応じ、委員長は臨時委員会を開催する。

掌握業務

(1)院内感染の発生を未然に防止する予防策
(2)院内感染が発生した場合における緊急対策
(3)院内感染に関連する職員の健康管理
(4)院内感染防止のために必要な職員教育
(5)その他必要と認められる事項

2)感染管理部

目的と設置

院内感染等の発生防止に関する業務を行うために感染制御部を置く。感染管理部は病院長直属の部門とし、組織横断的に活動を行う。

構成

感染管理部員は病院長が指名する医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師等で構成される。

掌握業務

(1)院内感染の発生防止並びに、発生状況の把握、分析及び対策
(2)各職業感染の対策
(3)抗菌薬使用状況の把握及び適正使用
(4)感染症関連資料(抗菌薬や、消毒薬、各種ガイドライン及び感染防止用医療機器等の情報)の整備
(5)感染に関する地域ネットワークの取りまとめ
(6)各種専門委員会との連絡調整
(7)その他、院内感染に関すること

3)感染制御チーム (ICT:Infection Control Team)

目的と設置

院内感染等の発生防止及び対策等に関して、迅速かつ機動的に活動することを目的として、感染管理部に感染制御チーム(以下ICT)を置く。

構成

ICTは感染管理専任医師、感染管理担当者(専従感染管理担当看護師)、感染管理専任薬剤師、感染管理専任臨床検査技師で構成される。

掌握業務

(1)感染対策マニュアルの作成と改訂
(2)アウトブレイクの早期発見、原因分析及び対策
(3)院内ラウンドの実施
(4)感染対策マニュアルの遵守状況の把握及び指導
(5)院内感染防止のための教育及び定期的な院内研修の開催
(6)感染対策に関する各種コンサルテーション業務
(7)各種ワクチン接種等
(8)体液曝露事故発生時の対策
(9)院内感染発生防止並びにサーベイランス(発生状況の把握、分析及び対策)の実施
(10)連携する感染対策向上加算1施設が開催するカンファレンスへの参加

4)抗菌薬適正使用支援チーム (AST:Antimicrobial Stewardship Team)

目的と設置

抗菌薬使用状況の把握と、その適正使用推進を目的として、感染管理部に抗菌薬適正使用支援チーム(以下AST)を置く

構成

ASTは感染管理専任医師、感染管理専任薬剤師、感染管理専任臨床検査技師、感染管理担当者(専従感染管理担当看護師)で構成される。

掌握業務

(1)抗菌薬適正化のためのモニタリングと主治医へのアドバイス
(2)適切な培養検査の推進と体制の整備
(3)抗菌薬の使用状況、耐性菌発生状況等の把握
(4)抗菌薬ラウンドの実施
(5)抗菌薬適正使用のための教育及び定期的な院内研修の開催
(6)抗菌薬の使用量や感受性率の調査
(7)抗菌薬適正使用マニュアルとアンチバイオグラムの見直し
(8)使用可能な抗菌薬の種類、用量等の定期的な見直し
(9)抗菌薬適正使用に関するコンサルテーション業務
(10)その他抗菌薬適正使用に関する業務

4. 院内感染対策に関する職員研修についての基本方針

(1)委員会は研修会・講習会を年2回以上開催する。
(2)研修会・講習会は院内感染に関する教育と実習を行い、必要に応じて全職員対象・職種別特定の部署を対象にするものとする。
(3)院外の感染対策を目的とした各種学会・研修会講習会の開催情報を広め、希望者の参加を支援する。
(4)研修の実施内容(開催日時、出席者、研修項目など)を記載、保存する。

5. 感染症の発生状況の報告に関する基本方針

院内で発生した感染症の発生状況を把握するために、対象限定サーベイランスを実施する。その結果を感染対策に活用する。

(1)カテーテル関連血流感染、手術部位感染、人工呼吸器関連肺炎、カテーテル関連尿路感染、その他のサーベイランスを可能な範囲で実施する。
(2)サーベイランスにおける診断基準は、アメリカ合衆国のNational Healthcare Safety Network(NHSN)システムに準拠する。
(3)サーベイランスの手法として、厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)システム、感染対策共通プラットフォーム(J-SIPHE)に参加する。

6. 院内感染発生時(アウトブレイクあるいは以上発生時)の対応に関する基本方針

(1)各種サーベイランスをもとに、院内感染のアウトブレイクあるいは異常発生をいち早く特定し、制圧の初動体制を含めて迅速な対応がなされるよう、感染に関わる情報管理を適切に実施する。
(2)検査部門は業務として検体からの検出菌の薬剤耐性パターンなどの解析を行って、疫学情報を日常的にICTや臨床へフィードバックする。
(3)アウトブレイクあるいは異常発生時には、その状況及び患者への対応等を病院長に報告する。感染対策委員会を開催し、速やかに発生の原因を究明し、改善策を立案し、実施するために全職員への周知徹底を図る。
(4)報告の義務づけられている感染症が特定された場合には、速やかに保健所へ報告する。

7. その他院内感染対策推進のために必要な事項

(1)職員は感染対策上の疑義が出た場合、委員会に意見を求めることができる。
(2)当院の院内感染対策マニュアルは最新のエビデンスに基づいたガイドラインを参考に当院の実情に合わせ作成したものである。また、職員に院内感染対策を周知するため、院内感染対策マニュアルは全部署に配置するとともに、電子カルテに掲示しており、いつでも閲覧できる。
(3)新興感染症発生時等に、都道府県等の要請を受けて感染症患者又は疑い患者を受け入れる。その際、汚染区域や清潔区域のゾーニングを行う。
(4)感染対策向上加算1施設と連携や、地域や全国のサーベイランスに参加することで、院内感染対策の評価を行う

8. 患者等に対する当該指針の閲覧に関する基本指針

本指針は、全部署に配置している感染対策マニュアルおよび、電子カルテで全職員が閲覧できる。また、一般には病院ホームページで閲覧できるとともに、閲覧の求めがあった場合はこれに応じる。

 

この指針は平成19年7月1日より施行する
令和5年5月10日最終改訂